ゆとり日記

 今日あった事や、アニメやマンガ、本や映画、落語の感想などをネタバレで書きます。

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ロマンス (文春文庫) を読んだ。



ロマンス (文春文庫)
(和書)2017年02月14日 22:51
柳 広司 文藝春秋 2013年11月8日

 「ロマンス」という題名からして、恋愛方面でロマンティックな内容なのかなと思ったのだが、いろいろあって3人とも可哀想な事になって終った。
 最初の一文に、
『ロマンスとは手の届かないものに憧れ、両手を精一杯差し伸べた姿だ。(E・M・フォースター)』
とあるので、これを読むとこの展開も確かになあと思う。
 昭和初期の華族の話で、兄と妹とその親友の男性が幼い頃から仲よくしているのだけれど、華族の血だったり、世論だったりに振り回されて不幸になっていくという話だった。華族の彼らはお金はあるし、特権階級だし、いつも綺麗な服を着て遊び歩いてはいるのだけれど、それでもやっぱり幸せではなかった。衣食住足りていても、幸せになれないときはなれないのだなあ。
 この3人の中では主人公が一番可哀想なのではないだろうか。彼は華族であり、ロシア人とのクォーターの美男子で頭も良く、何カ国語も話し、銃の腕前も一流で、おまけにダンスも玉突きも出来るという完璧超人なのだが、そんな彼でも好きな人と添い遂げる事は出来ず、無職で毎日街をふらふらするだけだった。また秘密を持っているがそれを誰にもあかせずに、一人苦しむしか無いというのも辛そうだなあ。
 彼、放心状態になって終ったがこれで終わりなんだろうか。彼は才能もあるのに、ずっと放心状態でふらふらと街を歩いて終わると思うと哀れすぎる。時代的にちょうど昭和8年なので、この後出来るD機関に拾ってもらえとも思った。
 兄の方も、なんでこうなったのか最後の最後までよく分からないだろうし、それももどかしいだろうなあ。
 妹の好きな人の予想は外れた。てっきり兄の親友が好きなのだとばかり思っていたので驚いた。彼女には2重にビックリさせられた。
 彼女のP296の
「それが良いことだと思った。少なくとも許されることだと思ったのです。けれど、今ならばわかります。“誰かのために“という言葉は何の言い訳にもならない。それが、たとえどんなに愛するもののためだとしてもです。」
というのが印象に残った。昔は愛国無罪なところがあったからなあ。今でも子供のためとか、自分が思う正義のためならば何をしても良いと思っている人も居るかも知れない。自分の正しさに酔っている状態というのは怖いなと思った。悪い事だと思うのなら逆にコントロールもきくだろうが、自分が正義だと思い込んでいると、折角の自制心もただの心の迷いだと思い込んで、何でも思い切った事をやるのが良いと思いやすいだろうしなあ。
 この時代に陸軍で採用されている三八式歩兵銃は装弾数5発で、打ち終えた後の銃剣使用の目的から130センチと長く、重さは4キロ近いそうだ。
 丁度小学校低学年くらいの子供と同じくらいの身長だろうか?4キロというのも、歩くたびにずっしりきて大変そうだ。自衛隊もこれくらいの重さなんだろうか?さすがに今はもう少し軽く使いやすくなっているのだろうか。
 後、イギリス陸軍が採用していたリーエンフィールド銃もでてきた。
 主人公がいつも飲んでいるアブサンは強い酒だそうだ。また彼の両親が特別に調合させたフランス製のアニスの香水も気になった。名前は母の名前に因んで「サクラ」とあるので、サクラの香りも少しは交じっているのだろうか。
 作中にジョルジュ・デ・キリコの絵もでてきた。P228には
『ギリシア風建築の立ち並ぶ人気のない見知らぬ街。路上に白昼忽然と現れた、のっぺらぼうのマネキンのような人形達。音のない無機的な世界に人形たちの影が長く伸びる』
とあるので、ググれば見つかるかも知れないと思ったが、どれもこれもそれっぽくて分からなかった。
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