ゆとり日記

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君たちはどう生きるか―波涛を越えて (吉野源三郎全集 1 ジュニア版) を読んだ。



君たちはどう生きるか―波涛を越えて (吉野源三郎全集 1 ジュニア版)
(和書)2016年08月24日 02:13
吉野 源三郎 ポプラ社 1985年1月

 意外と面白かった。これは読んだ時には戦後落ち着いてからの話かと思ったが、戦前に書かれていた話だというのがあとがきで分かって驚いた。戦前に既に経済の話や哲学っぽい話までし出して、なんかレベルが高いイメージだったので。
 この本は1937年に出版されたそうで、その頃は盧溝橋事件などが怒って日中戦争が始まるかとかいう大変な時代だった。
 山本有三が新潮社から『日本少国民文庫』で出した本で、この最後の『君たちはどう生きるか』は、目の病にかかってしまった山本有三のかわりに作者がかいたものだそうだ。
 この話の中にナポレオンの話が出て来たが、完全に手放しで賞賛しているわけではなく、彼の良かった所や悪かった所も冷静に書いてあるところや、先輩達が、自分たちなりの正義感から後輩達が、道楽をやるのを暴力で止めさせたり、高圧的な態度を取る様子が書いてあるのを読んで、なんとなく時の軍人のあり方を遠回しに批判しているんじゃないかなあとも思った。
 もしそうだとしたらよく出版できたなと思う。軍部からなんか言われそうだが、直接批判しているという訳でもないので出来なかったのかも知れない。また、軍とか関係なく、ただ他人に権力を振りかざす人を批判していただけかも知れないしなあ。
 この話では、先輩達に理不尽な事をされたら皆で立ち向かおうなどと言っていたのにいざとなると何も出来ず、それを仲間を裏切ってしまったように感じて自分を恥じて落ち込むなんていう展開があり、それが妙にリアルだなと思った。
 P312のあとがきにある、山本有三の人物を語った作者の話が良いなと思った。
『当時、軍国主義の勃興とともに、すでに言論や出版の自由はいちじるしく制限され、労働運動や社会主義の運動は、凶暴といっていいほどの激しい弾圧を受けていました。山本先生のような自由主義の立場におられた作家でも、1935年には、もう自由な執筆が困難となっておられました。その中で先生は、少年少女に訴える余地はまだ残っているし、せめてこの人々だけは、時勢の悪い影響から守りたい、と思い立たれました。先生の考えでは、今日の少年少女こそ次の時代を背負うべき大切な人たちである。この人々にこそ、まだ希望はある。だから、この人々には、偏狭な国粋主義や反動的な思想を越えた、自由で豊かな文化のあることを、なんとかしてつたえておかねばならないし、人類の進歩についての信念をいまのうちに養っておかねばならない、というのでした。荒れ狂うファシズムのもとで、先生はヒューマニズムの精神を守らねばならないと考え、その希望を次の時代にかけたのでした。当時、少年少女の読みものでも、ムッソリーニやヒットラーが英雄として賛美され、軍国主義がときを得顔に大手をふっていたことを思うと、山本先生の識見はすぐれたものでした。』
 これを書くにあたって、仲間の作家達と50、60回も相談を重ねてその結果『日本少国民文庫』ができたそうだ。もちろん、この頃の時勢を考えて計画されたものだそうだ。ここまで相談を重ねて考えられて書かれた本があったなんて、昔の子供は幸せだなと思った。
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