ゆとり日記

 今日あった事や、アニメやマンガ、本や映画、落語の感想などをネタバレで書きます。

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『絶望名人カフカの人生論』を読んだ。



絶望名人カフカの人生論
(和書)2016年07月21日 01:50
フランツ・カフカ 飛鳥新社 2011年10月21日

 カフカには申し訳ないが大いに笑わせてもらった。文章も分かりやすく書かれており、一気に読む事が出来た。
 「いちばんうまくできるのは、倒れたままでいることです」
というくらいにネガティブな人だという事が分かった。あまりに後ろ向き過ぎてむしろ面白かった。
 彼は、フェリーツェという婚約者がいたのだが、彼女への手紙に自分は虚弱だとか仕事が嫌だとか、後ろ向きな事ばっかり言っていた。しかも、そういった内容をフェリーチェの父親への手紙にも書いてきたので、それは彼女が渡さなかったそうだ。婚約者はおろか彼女の親御さんを心配させるような事ばっかり書くなよと思う。
 彼は彼女の事がよっぽど好きだったのだろう。手紙を一日に何通も贈ったり、時には電報を使う事もあったそうだ。
 それなのに彼は彼女との婚約を2度も破棄していた。自分から婚約してきたのにだ。彼は婚約した後にマリッジブルーになってしまったそうで、いっぱいいっぱいになってしまい、彼的にはもう破棄する以外になかったのだろう。普通の女性ならぶち切れるであろうが、フェリーツェは菩薩のような人だったらしい。ぶち切れはしたのかも知れないが。
 フェリーツェはこの後、お金持ちの実業家と結婚し、子供も二人産まれて幸せに暮らしたようだ。
 カフカは父親との関係も悪かったようで、彼に酷いコンプレックスを抱いていた。彼の事を巨人だとかたくましいなどと表現しているので、よっぽど大きくてあらがいがたく、恐ろしい存在だったんだろうなと思う。
 カフカは30代の頃にそんな父への恨み言を書いた手紙を大量に送りつけるのだが、それはカフカの母に阻止されてしまったそうだ。折角息子が、父へぶつけて来たものを、勝手に阻止するなよと思う。これがきっかけで少しは良い方向へいったかもしれないのに。悪い方向にいくかも知れないが、少なくとも息子の本心を知るチャンスだったのにそれを奪うなよと思う。
 カフカの親友であるマックス・ブロートは、カフカの死後に彼の作品を世に出すべく何年も尽力してくれ、彼のおかげで今カフカの作品を手にする事が出来るのだそうだ。彼は生前は成功した作家で既婚者で幸せそうだが、正反対のカフカとよく仲良く出来たなと思う。むしろ磁石のS極とN極のように、正反対だからこそ逆にひかれあったんだろうか。カフカはひかれていたのかは知らないが、ブロートの方はカフカを高く買っていたんだろうなあ。
 彼の仕事場は羨ましいと思った。父のコネで入ったその会社は8時から昼の2時までで、人間関係も良好で毎日遅刻でも大丈夫だったようだ。それどころか、仕事ぶり自体は真面目だったのでどんどん出世していき、部下ももっていたようだ。信じられないホワイト企業だ。
 カフカは晩年結核になってしまったそうだが、血を吐いた後にはしゃいでいる様子を見せたり、骨折をして喜んでいるところがなんか笑った。
 彼は大金持ちの生まれで、素敵な恋人や素晴らしい親友にも、職場にも恵まれているように、端から見ればそう思うのだが、彼的には何もかもやりきれなかったようだ。贅沢にも思えるが、彼は不幸のエネルギーを執筆の原動力にしているようなところがあるので、彼にとってはむしろ不幸な状態が逆に幸せだったのかも知れない。
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